PinkTyphoon の象徴
   〜振り付け〜

ピンク・レディーがデビュー前の評判を覆して、2度と現れないとまでいわ れるほどのスーパースターとなった一番の大きな要素はやはり振り付けの効果によるところが大きい。
しかし、その振り付けがこの世に生まれるまでには土居甫氏とピンク・レディーの血と汗と努力があったことはいうまでもない。まさに汗と涙の結晶がいまも多 くの人々に指示されている要因なのだ。
土居先生とピンク・レディーが生み出した大きな財産に我々は今もなお感謝をいたすところである。以下79年春、土居先生からファンのみなさまへ書かれた手 記です。



土居甫先生より
ファンのみなさまへ

  

ぼくとピンク・レディーの出逢いは、みなさんが考えるほど、ドラマ・ チックなもの ではありませんでした。
日本テレビの番組「スター誕生」(第十六回決勝大会)に、彼女たちが出 場したのですが、ぼくは〈おやッ、ワイルドな感じのする女の子たちだな〉
といったぐらいの印象しかありませんでした。
この「スター誕生」という番組からは、あの山口百恵ちゃんや、桜田淳子 ちゃん、森昌子ちゃんたちが最優秀賞に輝き、プロ歌手の道を進んだ新人歌手の登竜門なのです。
 そのころ、ミーは根本美鶴代、ケイは増田啓子という本名で出場、彼女 たちはお揃いのサロペットで、フォークソングを歌ったのです。それは、昭和51年2月のことで、ふたりの歌は素朴だったことを覚えています。ミーの声は細 く、高く、ケイの方は低くて太いものでした。それに音色も違っていましたし、彼女たち程度の歌唱力、フィーリングをもった子はたくさんいるのです。
 そういう意味で、ほかの審査員の印象も薄く、決勝大会では、清水由貴 子が一番有力視されていました。ところが、そんな二人に注目していたのが、ビクターレコードとT&Cミュージックの相馬マネージャーでした。
 数ヶ月かすぎた四月のこと、T&Cミュージック相馬氏から連絡をうけ ました。あの根本美鶴代、増田啓子に『レッスンをお願いしたいんです』というのです。
阿久悠先生の作詞、都倉俊一先生の作曲 で、ぼくに”振り”をつけて欲しいというのでした。ぼくは正直なところ、あの「スター誕生」の二人を思い出して〈少し弱いな〉と思ったのです。
 ビクターレコードとT&Cミュージックでは「ふたりをキャンディーズ のイメージで送り出したい」というのです。〈キャンディーズは、もっと可愛いじゃないの。ふたりには、その甘ったるさがない。むしろ、ワイルドで野暮った い。彼女たちの魅力は、あの大地をガッチリと踏みしめている太い腿にあるのじゃないかい。野育ちの土の匂いがぷんぷん、図太くって、したたかで、それでい て愛くるしい、その彼女たちの腿の表情を前面に押し出すべきじゃないか〉と。
 彼女たちの運動神経は、案外発達していました。ただ、ケイの方は、 ずっと以前に脊髄を痛め、心もち猫背だったのです。それを矯正しながら基礎をつける柔軟体操を、週二回(一回一時間半)、四ヶ月も続けました。
 ぼくの踊りの基本は、腰と膝にあるのです。それは並大抵のレッスンで はありませんでしたが、二人はその”しごき”に決して涙を見せませんでした。
 基礎が身についたところで、こんどは、ぼくは彼女たちの振り付けの テーマとして〈主張の強い、パワーのあるもの〉ということで、手と腿に表情をつける特訓を重ねました。
 そのころ、ふたりの名前がやっと決まりました。都倉俊一先生のアイ ディアで「ピンク・レディー」に決まったのです。デビュー曲も、阿久悠先生の詞で「ペッパー警部」と決定、すでに八月二十五日デビュー、九月にテレビ出演 が決定していたのです。
 ここで初めて、ピンク・レディーとしての踊りと振りをつけることに なったのです。常識からはみ出した、こちらの主張を視聴者や、観客に訴えることが出来るもの。
それは「ペッパー警部」のセールス・ポ イントでもあったわけです。ぼくの頭の中は猛スピードで回転しはじめました。そして、マイクをピストルに見せること、ふたりの腿を左右に開かせ、手を交叉 させる”振り”が生まれたのです。
 これまでの常識を突き破った、この”振り”は当然なことに、賛否両論 がありました。しかし、飯田久彦ディレクターなど、若い人たちの賛同をえて、ピンク・レディーのあのアクションが成功をみたのです。
 いまは、その特訓に耐えぬいた、ミーとケイにぼくは感謝しているので す。そして、そんな苦労の末に生まれたピンク・レディーは、いまや、ラスベガスでショーを成功させ、世界のエンターテイナーとして大きくはばたきはじめま した。それは、汗と涙と努力のたまものであり、一つの青春の讃歌といってよいと思うのです。
 ファンのみなさん、どうか彼女たちを、そういう愛情をもった目で見 守って欲しいと思います。



以上79年春発売の振り付け集よりそのまま掲載いたしました。土居先生のお二人に対する想い伝わってきましたか?
では振り付けコーナーどうぞお楽しみ下さい。 管理人STEP-WONDER TE2

振り付けコーナーへいざ!




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